所得の種類

サラリーマンの方にはなじみがないかもしれませんが、日本で受け取る収入については全てが

同じような税金の計算になるわけではありません。サラリーマンをしている時には、会社が

全て税金の計算までしてくれますが、会社を辞めたり、保険が満期になった際に受け取るお金

等はサラリーマンの時とは違う計算をして、税金を払ったりする必要があります。

個人の税金の計算は10種類に分けて計算が行われます。これは、受け取った収入にどれだけ

の税金を負担させるのかで違いを作る必要があると考えられているからです。所得の種類とし

ては、利子、配当、不動産、事業、給与、譲渡、一時、雑、山林、退職があります。この他に、

非課税、免税もあります。

利子所得

 利子所得とは、公社債の利子及び預貯金の利子並びに合同運用信託、公社債投資信託

及び公募公社債等運用投資信託の収益の分配に係る所得をいいます。

 利子所得ついての経費はなく、収入金額がそのまま所得金額になります。

配当所得

 配当所得とは、法人から受ける剰余金の配当、利益の配当、剰余金の分配、金銭の分配、

基金利息並びに投資信託及び特定受益証券発行信託の収益の分配による所得です。

 剰余金の分配には、資本剰余金の減少に伴うものは含まれません。わかりにくいものと

してはみなし配当所得がありますので注意が必要です。

 配当所得については、例えば、借入金で株式を取得した場合などの借入金の利子を配当

収入から費用として差し引きことができます。

 実務的には、ほとんどの方が送られてきた配当収入関係の書類を見ながらの確定申告に

なると思われます。

不動産所得

 不動産所得とは、不動産、不動産の上に存する権利、船舶又は航空機の貸付けによる

所得をいいます。

 個人が土地建物を貸すことによる所得、というのはしっくりきますが、船舶や航空機

の貸付によるものも不動産所得になるというのは一般的には、そうだったのかー、とい

う感じではないでしょうか。このあたりは航空機リース等の話もありますが、詳しくは

ここでは触れません。

 不動産の収入からその必要経費を差し引いて、不動産所得を計算します。

 ちなみに、法人(会社)が持っている不動産を貸し付けて得られる収入は、不動産所

得ではなく基本的に会社の売上です。

事業所得

 事業所得とは、農業、漁業、製造業、卸売業、サービス業その他の事業で、対価を得て

継続し的に行う事業をいいます。

 その他には、林業及び狩猟業、水産養殖業、鉱業、建設業、小売業、金融業及び保険業

不動産業、運輸通信業、医療保険業、著述業などがあります。あらゆる事業が事業所得に

なり得ます。

 事業所得は、事業収入から事業経費を差し引き求めます。この所得が赤字になり、さら

に他に給与所得があり還付申告をすると難しい問題が出てきます。

給与所得

 給与所得とは、俸給、給料、賃金、歳費及び賞与並びにこれらの性質を有する給与に

よって生じる所得をいいます。一番なじみがあるものだと思います。

 受け取った収入から、給与所得控除、特定支出控除を差し引いて所得金額を算出します。

 給与所得での大きな問題は、何が給与に当たるかだと思います。例えば、会社から旅

費や通勤費として受けとっていても金額が多かったりするとそれは給与ですね、とされ

たり、お金でもらわなくても会社の株式やストックオプション、賃貸住宅をあてがわれ

たりなど現物を支給されると、それは給与ですね、となることもあります。

退職所得

 退職所得とは、退職手当、一時恩給その他の退職により一時に受ける給与及びこれらの

性質をもつ給与としての所得をいいます。

 給与なのに給与所得としないのは、退職所得は一般的に老後の生活のための資とされる

ことからです。

 退職所得は、収入金額から退職所得控除を差し引いてさらに2分の1をして計算します。

勤続年数が5年以下の場合の特定役員退職所得については、2分の1課税は行われません。

これは税金を少なくする恩恵を受けさせる必要が乏しいとされるからです。

山林所得

 山林所得とは、山林の伐採又は譲渡による所得をいいます。その中でも山林を所得後

5年以内に伐採又は譲渡した場合には事業所得か雑所得になります。その他、贈与、相

続、遺贈、収用、競売、物納などの場合にも、それぞれの条件のもとに山林所得になり

ます。

 山林所得は、収入金額から必要経費を控除し、50万円を上限とした特別控除を行い

計算します。

 山林所得ではその特殊性から、概算経費控除、森林計画特別控除があり、青色申告特

別控除は10万円が上限となっています。税額の計算においては、課税山林所得に5分

の1を乗じて税率表に当てはめ、その税額に5を乗じる5分5乗方式がとられています。

譲渡所得

 譲渡所得とは、資産の譲渡による所得をいいます。これ以外にも、譲渡とみなされる

ものとして、一定の建物の所有を目的とする地上権、賃借権、地役権、の設定も含まれ

ます。

 譲渡所得に含まれないものとしては、棚卸資産の譲渡や営利目的で継続して行わ

れる資産の譲渡、山林の伐採又は譲渡があります。不動産業を営んでいる場合や山林所

得に該当するものがそれにあたります。

 譲渡所得は資産の所得日から5年以内になされたものと、5年を超えてなされたもの

とで別々に計算を行います。それぞれ収入金額から必要経費を控除し、最大50万円の

特別控除を行い所得金額を計算します。また、5年を超える長期の譲渡所得については、

総所得金額を計算する際に2分の1を総所得金額から外します。

 5年以内の短期の譲渡所得に対しては、原則30%の税率で税額を計算します。

 5年を超える長期の譲渡所得に対しては、15%の税率で税額を計算します。

 譲渡所得には分離課税や特別控除など多くの例外(特例といいます)があります。

この特例をどのように使うのかが税金を計算するうえでのポイントとなります。事前に

よく確認をしておく必要があります。

いくらで買ったかわからないとき〜概算取得費控除の特例〜

 譲渡所得を計算するには、売った金額、買った金額が最低限わかる必要があります。

しかし譲渡所得は、先祖代々(とは言わなくとも)の土地を売ることも多々あり、いく

らで買ったのかわからないことがよくあります。それでは売った金額から何も差し引け

ないのかというとそうではありません。概算取得費控除という制度があります。

 これは売った金額の5%を差し引ける、というものです。

 売った金額1000万円×5%=50万円、が差し引けます。

 もし取得費がわかっている場合でも5%の方が多ければ5%を計算してそれを差し引く

ことができます。どちらか有利な方法を選択できるといういうことです。

一時所得

 一時所得とは、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、

山林所得、譲渡所得以外の所得で、営利を目的とする継続的な行為から生じた所得以

外の一時の所得で労務その他の役務、資産の譲渡の対価としての性質がない所得のこ

とです。

 つまるところ、上に掲げた所得以外で一時に得た所得と言えます。一番身近なのが、

満期を迎えた養老保険だと思います。他にも、損害保険の満期返戻金、年金基金の解散

にあたり支払われる財産の分配、適格退職年金制度終了の際に支払われる一時金、借家

の立退料、馬券や競輪の払戻金(例外あり)、売買契約解除の際に取得した手付金、遺

失物拾得が受ける報労金、埋蔵金等発見者が取得する資産などがあります。

 一時所得の金額は、総収入金額−その収入を得るために直接支出した金額−50万

円を限度とした特別控除、を行い計算します。また、総所得金額を計算する際に2分

の1を所得金額から外します。

雑所得

 雑所得とは、他の9つの所得区分に入らない所得をいいます。

 雑所得の典型例には公的年金があります。他にも、生命保険を年金形式で受け取る

場合も雑所得になります。個人年金保険料控除を受けている際に受け取る年金も雑所

得に該当してくることも多いと思われます。調査の場面では、事業所得として申告を

行っていても、それが本当に事業なのか否かの判断が争点になることもあります。こ

れは、事業所得の損失は損益通算の対象になりますが、雑所得の損失はその対象にな

らないところからきていることが多いと思われます。

 雑所得の金額は、

 公的年金収入−公的年金控除

 公的年金以外の収入金額−必要経費

 の合計額で計算します。

 

損益通算

 損益通算とは、それぞれの所得で発生した損失を、他の所得から差し引くものです。

 これは当たりまえのように感じるかもしれませんが、所得税においては厳しく決められて

います。それは個人という性格から来ています。仕事をしているという面や娯楽をしている

という面や投資をしているという面など、様々な面を持つからです。そう考えると難しくな

りますので、そんなものか、と割り切ることも必要です。

 @ 不動産、事業の損失 → 利子、配当、不動産、事業、給与、雑から控除

 A 譲渡の損失     → 一時から控除

 B @で控除しきれないものは、短期の譲渡、長期の譲渡の順で控除

 C Aで控除しきれないものは、@から控除

 D @〜Cで控除しきれないものは山林、退職の順に控除

 E 山林の損失は@記載のものから控除、残りは譲渡、一時の順に控除、さらに残れば

   退職から控除

 というようになっています。

 ここまでの控除は、なかなかお目にかかれませんがそうなっています。

純損失の繰越控除

 損益通算では、事業や不動産などで収入を得ている人が、その損失を他の所得から差し引く

ものでした。これはその年限りの通算ですが、それでも引ききれない損失(赤字)がある場合

には翌年以降に繰り越して控除することができます。これには2つあります。

〇青色申告を行っている場合の純損失

3年以内に発生した赤字を利子、配当、不動産、事業、給与、総合課税の短期譲渡、雑、総合

課税の長期譲渡と一時所得の合計の半分(総所得金額)、山林、退職所得から差し引く。

〇漁業、はまち等養殖、著作権の使用料、原稿料、作曲の報酬などの変動所得の損失、被災事

業用資産の損失の純損失

3年以内に発生した赤字を利子、配当、不動産、事業、給与、総合課税の短期譲渡、雑、総合

課税の長期譲渡と一時所得の合計の半分(総所得金額)、山林、退職所得から差し引く。

 つまるところ、仕事をしていて赤字が出たら3年間繰り越して黒字と相殺できるというもの

です。2つ目の変動所得と被災事業用資産については白色でも繰越控除が可能です。ただ純損

失が出た年以降、連続して確定申告を行っていることが要件となっています。自分で申告を行

っていると忙しさに紛れて、ついつい申告を忘れてしまうこともあるかもしれませんがこの点

は注意が必要です。

雑損控除・雑損失の繰越控除

 日常生活に必要な資産が、災害、盗難、横領、それらに関してやむを得ない支出をした場合

には雑損控除を受けることができます。

 さらに雑損控除でも損失金額が残れば、3年以内に発生した損失について雑損失の繰越控除

を受けることができます。

 気を付けなければならないのは、雑損控除も雑損失の繰越控除も確定申告をしなければなら

ないということです。純損失の繰越控除は事業者向けのものですが、雑損失の繰越控除は事業

者やそうでない人も受けることができます。

〇保険に入っていて、保険金を受け取る場合にはその部分は損失から差し引く必要があります。

〇生活に必要な資産の損失ですので、貴金属などの生活に通常必要でないものの損失は対象外

 です。生活に通常必要かどうかはその人にとって必要かどうか、ではありませんので要注意

 です。

〇何らかの損失が発生した場合には、可能な限り資料を取っておくことをお勧めします。この

 ことは慣れないことなので案外忘れがちになり、後々苦労することが多い点です。

特定支出控除

 給与を受ける場合には、給与所得控除があり自動的に所得控除を受ける前までの所得金

額は決まりますが、その例外として特定支出控除があります。これは、自分で収入から

差し引く経費を計算するものです。法律で特定された支出、ということです。

 例えば給与所得控除が180万円、特定支出が150万円だとすると、150万円−90

万円=60万円が控除額ということになります。

内容については、

@通勤費

A職務上の旅費

B転任に伴う転居費用

C研修費 

D人の資格を取得するための支出

E単身赴任者の往復費用

F限度額65万円までで、書籍等、制服等、交際費等

となっています。AとEの単身赴任者の旅費の一部分については、令和2年からの適用に

なります。

上記の支出は、当然何でもOKではなく、仕事に必要な合理的な範囲に限られています。

特定支出の補助が出る場合、教育訓練給付金、母子(父子)家庭自立支援教育訓練給付金が

支給される場合にはその部分は除かれます。

医療費控除

 医療費控除は、確定申告の中で一番なじみがあるものだと思います。医療費控除で確定申告を

行って数千円でも戻ってくれば有難いのもだと感じます。

 医療費控除は10万円を超えないと意味がない、という思い込みがあるかもしれませんが10

万円以下でも控除を受けることができる場合があります。総所得金額+退職+山林の5%を超え

ていればその5%を超えた部分も控除の対象になります。給与収入のみの方は、源泉徴収票で見

てみますと、給与所得控除後の給与等の金額、というところの金額を5%してみることになりま

す。上限は200万円です。

 医療費控除は、控除になるものというよりならないものをお伝えする方がいいと思いますので

以下に記入してみます。

 健康診断費用や医師等への謝礼、健康増進の病気予防のためのビタミン剤・医薬品、はり師・

柔道整復師の施術で疲れを癒す体調を整えるもの、療養上の世話で看護婦への心づけ・親類への

付き添い料、病院等へ自家用車で通院する際のガソリン代・駐車料代、治療に直接必要でない眼

鏡・補聴器の購入費用、おむつ使用証明書(確認書)がないおむつ代、入院の際の洗面具等の身

の回り品代、差額ベッド代、入院中の出前代、容貌を美化するための費用。

 セルフメディケーション税制は医療費控除の特例で、選択適用でもあるのでここでは触れてい

ません。

セルフメディケーション税制

 平成29年から令和3(平成33)年の間に、健康の保持増進及び疾病の予防への取組を

行っており、そのための特定の医薬品(市販薬)を自分あるいは親族が購入した場合には、

医療費控除に変えて医療費控除の特例を受けることができます。

 特定の成分(88種類)を含んだ医薬品(1,718品目)がこの記事を書く際に指定され

ています。現実的には、レシートに何らかのマークやその旨記載されており、対象の医薬品

にも対象となるマークが付けられています。成分や医薬品の品目はこれからも増えていくと

思われます。

 対象の医薬品を購入すると購入額から1万2千円を控除した金額が医療費控除の代わりに

所得控除できます。上限は8万8千円です。医療費控除の10万円を考えるとそれよりも低

い金額で控除を受けることができます。

 控除を受けるためには、取組を行う必要がありますが、職場の健康診断や市の健康診断、

がん検診を受けていれば大丈夫です。その結果を確定申告の際に提出するが提示するかすれ

ば大丈夫です。ただ、申請者が任意に受診した健康診断(全額自己負担)は、取組に含まれ

ません。

 注意点は、医療費控除を受けたらこの特例は受けることができませんし、この特例を受け

たら医療費控除は受けることができません。その年ごとに判断することになります。健康診

断そのものの費用や予防接種費用そのものは対象外です。医薬品の購入金額のみが対象です。

 この特例は、特別措置法で令和3年までとなっていますが、おそらく他の特別措置法と同

じように延長されていくことになると思われます。

社会保険料控除

 社会保険料控除はどなたもご存知の控除だと思います。生計を同じくする親族が負担すべ

き社会保険料を支払った場合、あるいは給与から控除された場合に社会保険料を所得控除す

ることができます。

 国民健康保険料、厚生年金保険料、介護保険料、共済組合の掛け金、労災の保険料などが

典型例です。

 注意すべき点としては、支払った人が控除を受けることができる、ということです。子供

の国民年金を親が支払ったら親が控除を受けることができますが、それを子供が払ったけれ

ども所得税額が少なくなるからといって親が控除を受ける、というようなことはできません。

親の介護保険料が年金から天引きされている場合に、親の所得税がないから子供がその保険

料の控除を受けることもできません。また、本来は支払うべき期限が来ていた国民健康保険

料を、払っていないけれども控除を受ける、ということもできません。

小規模企業共済等掛金控除

 小規模企業共済等掛金には、小規模企業共済掛金、確定拠出企業型年金掛金、確定拠出

個人型年金掛金、心身障害者扶養共済制度の掛金があります。これらの掛金を支払った際

には所得控除を受けることができます。

 小規模企業共済は、個人事業主や中小企業事業主にとっては退職金を準備するための大

変良い制度だと思います。保険業者の方が扱っている退職金に当て込むための保険よりも、

財務体質に悪影響を与えにくいこちらの方をお勧めしています。

 確定拠出年金は小規模企業共済と違い、ほとんどの方が対象になります。主婦、公務員、

会社員なども対象になります。加入する方により月額の限度額が違ってきますが、小規模

企業共済よりも投資の自由度が高い年金制度になっています。

生命保険料控除

 生命保険料控除は、最も馴染みのある税金控除のひとつだと思います。保険に入るときには

セールストークとしてこの保険料控除が出てこないことはまずありません。

 生命保険料控除の内訳としては、新生命保険料、旧生命保険料、介護保険料、新個人年金保

険料、旧個人年金保険料があります。どれに該当するかは、細かい規定はありますが、保険会

社がその保険契約に基づいて保険料控除証明書を発行しますので、それを見て判断すればいい

ので問題ありません。また控除計算も国税庁のHPでできますので問題ありません。

 新と旧との境目は、平成24年1月1日以後に契約を締結した保険が新で、平成23年12

月31日以前に契約を締結した保険が旧です。旧の時は10万円が控除の上限でしたが、新に

なってからは12万円が上限となっています。

 生命保険料控除関係で問題だと思うのは、セールストークにのって入らなくてもいい保険に

入ってしまうことです。保険料控除で年間数千円〜数万円の税金が少なくなったとしても、保

険料は年間数万円から数十万円払うことになります。日本人は保険好きとして知られています

し、一生の内で2番目に高い買い物は保険だとも言われています。保険の根本はばくちと同じ

です。払った以上のものを全員が取り戻せるものではありません。細心の注意を払って保険に

は入りましょう。

地震保険料控除

 自己又は配偶者等が所有する、家屋、生活に必要な家具、じゅう器、衣服、30万円を

超える貴金属、書画骨董以外の生活に必要な動産を保険の目的としていて、地震や噴火、

これらによる津波を原因とする火災、損壊、埋没、流出による損害を補填するための保険

料を払った場合には地震保険料控除を受けることができます。

 平成18年12月31日以前に締結した満期返戻金があり契約期間が10年以上でその

後に契約を変更していないもの((旧)長期損害保険契約)の保険料を払った場合にも地震

保険料控除を受けることができます。

 地震保険料控除は上限5万円、旧長期損害保険料のみでは1万5千円、両方がある場合

には合わせて5万円の控除を受けることができます。

 事業資産に対する保険は、事業所得の計算の際に損害保険料として費用計上できます。

寄付金控除

 居住者が、特定の寄付をした際には寄付金控除を受けることができます。特定とは、

税法で特定している、ということです。

 最近はふるさと納税が有名ですが、それはこの寄付金控除の一部分のことです。

 所得控除額は、支出額−2,000円、となっていますがもう1点、所得金額の40%

が限度になっています。

個々の団体の名称は記載しにくいので、実際に該当するかはネットで調べてみてください。

 1、特定寄付金 国、地方公共団体

 2、指定寄付金(財務大臣が指定という意味です)

  公益財団、公益社団、政令で認められた公益を目的とする事業を行う法人又は団体、

  公益の増進に著しく寄与する特定公益信託

 3、特定公益増進法人への寄付、所得税別表一に掲げる法人への寄付

 4、特定公益信託の信託財産とするための支出

 5、政治資金規正法に規定された政治活動への寄付金

 6、認定特定非営利活動法人等への寄付金

 7、特定新規中小会社が発行した株式を取得した場合の特例

   エンジェル税制と言われているものとは別のものです。

上記の、2の一部、5、6、については税額控除を選択することもできます。

 税額控除の場合(寄付額−2,000円)×40%が控除できますが、所得税額の25

%が上限になっています。

障害者控除

 所得者本人が障害者である場合や所得者の配偶者、扶養親族が障害者である場合には

次の金額が障害者控除として基礎控除や配偶者控除、扶養控除に加算されます。

一般の障害者   27万円

特別の障害者   40万円

同居の特別障害者 75万円

法律上は、精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者は障害者控除を

受けることができますが、実質的には何らかの形で医師の診断を受ける必要があると思

います。この場合に重度、一級や障害者手帳で二級の障害等と判断されると税法上の特

別の障害者となります。

他にも戦傷者、被爆者もこの控除を受けることができます。

 同一生計配偶者又は扶養親族が特別障害者で、所得者又はその配偶者、もしくは所得

者と生計を一にするその他の親族のいずれかととの同居を常況としている者である場合

には同居の特別障害者となります。

寡婦(寡夫)控除

 寡婦(寡夫)に該当すると、27万円の所得控除を受けることができます。

 夫と死別、もしくは離婚した後結婚していない者又は夫の生死の明らかでない者+扶養

親族である子で所得金額が38万円以下(令和2年1月1日からは48万円)のも者がい

る+合計所得金額が500万円以下である場合には35万円の所得控除を受けることがで

きます。(ちなみに給与所得金額500万円は、給与収入680万円くらいです。)

 寡婦

 夫と死別、もしくは離婚した後結婚していない者又は夫の生死の明らかでない者+扶養

親族又はその者と生計を一にする子で所得金額が38万円以下(令和2年1月1日からは

48万円)のものがいる

 夫と死別した後結婚していない者又は夫の生死の明らかでない者+合計所得金額が500

万円以下

 寡夫

 妻と死別し、もしくは妻と離婚した後結婚していない者又は妻の生死の明らかでない者+

その者と生計を一にする子で所得金額が38万円以下(令和2年1月1日からは48万円)

の者がいる+合計所得金額が500 万円以下

 夫(妻)の生死が明らかでないとは、

@大東亜戦争の終結の当時陸海軍に属していた者で国内に帰らない人

A@以外で大東亜戦争終結の当時国外にいて@と同様の事情でまだ国内に帰らない人

B船舶が沈没、転覆、滅失、行方不明となるか又は航空機が墜落、滅失、行方不明になった

 際に乗っていた人、あるいは船舶又は航空機に乗っていて行方不明になった人で3月以上

 その生死が不明な人

CB以外で死亡の原因となる危難に遭遇した人で危難が去った後1年以上生死が明らかで

 ない人

D@〜C以外で、3年以上生死が明らかでない人

のことです。

勤労学生控除

 納税者が勤労学生の場合には27万円の所得控除を受けることができます。

 勤労学生とは、学生のうち事業所得、給与所得、退職所得、雑所得の合計額が65万円

以下(令和2年以降は75万円以下)で、その内給与所得以外の金額が10万円以下の者

をいいます。

 学生とは学校教育法一条に規定する学校に通う生徒等、国・地方公共団体・私立学校法

に規定する学校法人・専修学校・各種学校の生徒で一定の過程を履修する者、職業訓練法

人の行う職業能力開発促進法に規定する一定の認定職業訓練を受ける者のことをいいます。

 税法上の年齢制限はありません。勤労学生に該当するか否かはその年の12月31日の

現況によって判定します。

配偶者控除

 居住者に控除対象配偶者がいる場合には、

居住者の合計所得金額が900万円以下の場合        38万円(48万円)

居住者の合計所得金額が900万円超950万円以下の場合  26万円(32万円)

居住者の合計所得金額が950万円超1000万円以下の場合 13万円(16万円)

を控除できます。( )内は70歳以上の配偶者の場合

 控除対象配偶者とは、居住者と生計を一にする配偶者で合計所得金額が38万円

(令和2年以降は48万円)以下の者をいいます。

・その配偶者が親族内の青色事業専従者になっている場合には、控除対象配偶者になることは

 できません。

・子どもを事業で使用していて青色事業専従者や事業専従者としている場合に、その子供が結婚

 して結婚先で配偶者控除を受けるような場合には、親は専従者の給与や控除を経費にすること

 ができます。

・寡婦(夫)控除と配偶者控除は、条件が満たされていれば、両方控除することができます。

配偶者特別控除

 所得金額が1千万円以下(給与収入では1,220万円以下)の居住者に、青色事業専従者

でも控除対象配偶者でもない生計を一にする配偶者がいる場合には、配偶者特別控除を受け

ることができます。

配偶者の給与収入             居住者の給与収入金額

               1,120万円以下 1,120万円超    1,170万円超

                         1,170万円以下   1,220万円以下

103万円超   150万円以下   38万円    26万円     13万円

150万円超   155万円以下   36万円    24万円     12万円

155万円超   160万円以下   31万円    21万円     11万円

160万円超   166.8万円未満  26万円    18万円      9万円

166.8万円以上 175.2万円未満  21万円    14万円      7万円

175.2万円以上 183.2万円未満  16万円    11万円      6万円

183.2万円以上 190.4万円未満  11万円     8万円      4万円

190.4万円以上 197.2万円未満   6万円     4万円      2万円

197.2万円以上 201.6万円未満   3万円     2万円      1万円

 

配偶者の所得金額での区分けが正確なところですが、給与収入で区分けした方が分かりやす

いと思いますので上記のとおりとしました。

配偶者控除は受けることができませんが(控除対象配偶者ではないということ)、配偶者

特別控除は受けることができる方もいます。しかし給与額を以前のまま103万円までに

したい、という方もいます。理由として、夫(妻)の会社の規定で、扶養手当が以前のまま、

という会社もあるように聞きます。妻(夫)の給与が103万円までなら扶養手当を出す、

ということのようです。このあたり、会社も対応を検討する必要があると思います。

扶養控除

 居住者に、控除対象扶養親族がいる場合には扶養控除を受けることができます。

 以下、控除額の一覧です。

一般の扶養親族(16-18,23-69歳)  38万円  (0-15歳は扶養控除0円)

一般障害者             27万円

特別障害者             40万円

同居特別障害者           75万円

一般障害者            65万円   38万円+27万円

特別障害者             78万円   38万円+40万円

同居特別障碍者         113万円  38万円+75万円

特定扶養親族 (19-22歳)     63万円  

特定扶養障害者          90万円  63万円+27万円

特定扶養特別障害者       103万円  63万円+40万円

特定扶養特別同居障害者     138万円  63万円+75万円

老人扶養親族   (70歳以上)   48万円

同居老人扶養親族         58万円  48万円+10万円

老人障害者親族          75万円  48万円+27万円

老人同居老親等障害者       85万円  48万円+10万円+27万円

老人特別障害者          88万円  48万円+40万円

老人同居特別障害者親族     123万円  48万円+75万円

老人同居老親等特別障害者親族  133万円  48万円+10万円+75万円

 

 ・親族とは、6親等内の血族、3親等内の姻族をいいます。

 ・扶養親族とは、居住者の親族、里親に委託された児童、養護受託者に委託された老人で生計

  を一にする人のうち、合計所得金額が38万円以下の人をいいます。

 ・控除対象扶養親族とは、扶養親族のうち、16歳以上の人をいいます。

 ・特定扶養親族(上の一覧で「特定」がつく人)とは控除対象扶養親族のうち、19歳以上

  23歳未満の人をいいます。

 ・老人扶養親族(上の一覧で「老人」がつく人)とは、控除対象扶養親族のうち、70歳以上

  の人をいいます。

 ・同居老親とは、本人又は配偶者のいずれかと同居している直系の老人扶養親族のことです。

国外居住親族に関する扶養控除等

 平成28年1月1日から支払う給料、年金について、国外に居住

している親族を扶養控除の対象とする場合には、本当に親族なのか、

本当に扶養関係にあるのかを確認しなければならないことになりました。

 日本に住んでいる親族について扶養控除の適用を行った場合、

日本国内のことなので税務署も調査等ができるので本人の申告のみ

でもいいのですが、海外に住んでいる親族について扶養控除の適用を

受ける際には、その人が本当に親族なのか、扶養関係にあるのかの

確認が事実上困難あるいはできません。従ってこのような制度が

出来ました。

 以前、確定申告をみていると、数百万円もの扶養控除を受けて

いる人もいてこれは本当に扶養親族として扱って大丈夫なんだろうか、

と思うことがありました。親族の範囲は日本と同じ6親等以内の血族

3親等以内の姻族ですので、家族が多いと確かに扶養控除も大きな

金額になる可能性はあります。

アジア地域出身の方だったと記憶していますが、なかなか調査も

難しいだろうな、と感じたものです。

  外国人を従業員やパートとして雇っている事業主の方は気を

付けてください。後々の税務調査で、必要書類が揃ってないと既に

退職して帰国した従業員の源泉所得税を実質的に負担しなければ

ならなくなる可能性が十分にあります。